自分で作った診察用具を紹介します。
一般的に診療に使う医療機器は医療機械屋さんから購入しますが
私の使ってる道具の中には自分で作ったものや、医療用じゃない物を利用して
いる物が少々ございます。その一つが眼位確認(目線のずれを見たりする)や
メガネ処方時に瞳孔間距離(両眼の黒目の間の距離)を計ったりするときに
患者さんに見てもらってる道具です。この道具の元は学会出張で東京に行った時に
秋葉原にある秋月電子のこちらのキットをたまたま見つけて買ってきた物です。
普通のペンライトで診察してる眼科医が多いのではないかと思いますがこの道具の良いところは
単3乾電池1本で連続100時間も安定して光ることです。本来の形に組み立てますと
診療には使いにくいのですが、ちょっとオリジナルとは異なった組み立て方をしています。
購入した状態は、この様に部品、基板などが バラバラに入ってる状態です。500円です。 |
秋月電子のHPから無断で写真を借りてます。 まあ自社商品の宣伝になるので写真使用に クレームはつかないでしょう。 商品の紹介に関してはHPへのLINK自由と 表示してあるくらいですから これがオリジナルのやり方で 組み立てた物の写真です。 投光器には良いですが、このままでは 診察道具には使用困難です。 そこで下の写真のように組み立てると 説明書にあるのを・・下に続く |
この投光器は本来の組み立て方では赤い矢印の方向に投光します。私の場合は下の写真のようにします。
2個ならべた写真です。左側は患者さんから見て表向き。右側は裏向きでふたを開けた状態。
私の組み立ては、この様にオリジナルと異なった場所にケースに穴をあけて発光ダイオードを
取り付けてます。オリジナルの組み立てとは、90度ちがう方向に投光します。これを私の
両眼の間の顔の上に置いた状況で診察します。自分の眼と発光点が近く、患者さんの
目線のずれは診察しやすいし、瞳孔間距離を計るのも正確に出来ます。
また最近はあまり行かなくなったのですが学校検診の時などには点けっぱなしで使えるので
診察しようとしたときに明るさが不安定だったり、ペンライトのスイッチの接触不良が発生したりもなく
大変気に入って使用してきました。今は出石高校と出石養護学校にのみ検診に行っていますが
今年も順調に使用してきました。未だ組み立てていないキットが数個あります。また時間が出来たら
もっとたくさん作って友人眼科医にプレゼントにも良いかななんて考えています。
さらにもう一つご紹介します。睫毛電気分解(逆まつげの根っこを電気で焼いて永久脱毛する手術)の
電源部分も私が作ったものを使用中です。永久脱毛なんて美容外科みたいですが当院でも出来ます。
でも、あくまで、さかまつげがあたって眼に傷が出来る方の治療としてやってます。ですから、美容目的で
むだ毛を取って欲しいという患者さんがあってもお断りします。そう言う場合は美容外科に行ってください。
この機械は元々はアマチュア無線機器の電源装置でしたが中味の基板を半分以上は作り変えています。
この改造に要した費用は5000円ほどでしたが、医療器具として販売されている物は10万円以上はするようです。
しかし、手術に使う電極は自作できないのでその分のみメーカー製品を使用しています。節約と言うよりは
自分で作れるという面白さが良いと思って作っています。もちろん機械に詳しくない医師にはこの機械を
作ろうなどと言う事は薦めたりいたしません。
なお医療用具としての許可を得た物ではなくても医師個人の責任で使うことは
OKなのですよと言う話は次々回の独り言No.320をご覧下さい。
一気に3回分書いたので少々前後してしまいました(^_^;)
疲れたり、忙しかったりで1ヶ月ぶりの更新です。
2006.06.25 記