ちょっと変じゃない? 今日の読売新聞の記事
今朝、医院に来てる新聞を見てびっくりしました
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news_i/20030624so11.htm
上記にその記事の内容があります。
異なってる点は『効果無し』と新聞には印刷してあったが
上記WEBでは『効果に関する十分な科学的根拠がない』になっています
私が変だと感じた部分に対してコメントを書きます
新聞記事の文章をこの色で私のコメントはそれ以外の色で表示です
ピレノキシン(商品名カタリンなど)の目薬は40年以上前に認可され、
広く使われている薬で、薬局で買うこともできる。指針は、現場への影響を“配慮”し、
「投与を考慮しても良いが、十分な科学的な根拠がないため、十分なインフォームドコンセント
(患者への説明と同意)を得た上で使用することが望ましい」としている。
この新聞記事の書き方と元になったかなと思える文の内容はどうも一致しないように思います
みなさんも自分の目で見て記事の書き方が妥当か判断してみて下さい。
http://www.nms.ac.jp/jnms/2002/06904404j.pdf
上記がもとの文章ではないかと思えますがそこには有効性があるか無いかわからない
とは書いてあっても無効とは書いていないし、有効性を確認するのは多くの患者さんに
手数をかけさせてしかも5年以上もかかってしまうから実際には出来ないし。。
日本のように手術で治してOKが簡単に出来ない国では薬物療法が無くなると言うことは
困ったことである等も書かれています
私は患者さんに処方する場合には進行を抑える働きはあるようだが
年齢が大きくなったらこの点眼薬を続けていても白内障手術になることも多いし
死ぬまでこの薬をしていて良かったかどうかは分からないと説明した上でしています
研究班の茨木信博・日本医大千葉北総病院教授は「効果の不明な薬が、
定期的に通院させるための手段として使われている実態が問題だ。
白内障診療のあり方を考え直す必要がある」と話している。
ほんとにこんな発言をしたのでしょうか??
私も白内障学会に行く予定でプログラムが医院に届いていますがそれを見たところでは
基礎研究では有効とされている点眼薬でも臨床試験では充分に有効性の確認はなく
と言う様なコメントにはなっていますが??学会会場でこの先生に質問してきます
もし新聞記者が勝手な事を追加して医療機関=金儲け主義:誌上でたたくと読者喜ぶ
そんな良くあるパターンで記事を作ったとしたら眼科医を侮辱してると思います
そもそも健康保険による診療をする場合、薬を処方するときには
その能書(薬の効果や副作用、適応になる病気等が説明された公式文章)に
基づいてしております。
能書に薬効が記されている薬を適応症に従い使用することを、
「通院させるための手段」とは、あきれた暴言ではないでしょうか?
眼科医に対する侮辱でもあり大変不愉快だと思います。
新聞社もなかなかうまいですねぇ。記者のコメントとして書くと新聞社に苦情が来るから
眼科医の発言という形で載せていますからね
2003.06.24 記
6月25日の読売新聞(大阪版)付の記事で訂正記事が掲載されました。訂正文
は以下の通りです。『24日付け朝刊の白内障薬物治療の記事で、見出しの「白
内障薬効果なし」は「科学的根拠なし」に訂正します』
でも こんな小さい記事何人が気がつくんだって大きさ:昨日と大違い(;¬_¬)
2003.06.25 追記
追加の新聞記事が出ましたのでさらに追記します
2003.07.11の読売新聞の論点です
その記事はこちらに引用しました
ここにある文章は始めの記事とはずいぶんちがってると思いませんか
2003.07.14 追記